ビールの中ジョッキが並ぶ居酒屋の卓上に皆一個ずつと置かれた幼馴染みの母からの土産のスパム。

小学校からの連れが四人いる。

中学あたりで皆が同じクラスになり何故か同じ高校へ行った。

働き始めるまでは時に連なり、その後それぞれの道へ行った。

アパレルに観光船の操舵士に青果市場に工業電気屋に美容師。

数年に一度集まっていたけど流行り病もあってか全員集合するのはきっと七、八年ぶり。

皆まだ自分の正体もよく分からないうちに知り合っているからまあ、色んなタイプがいて面白い。

これからはインド経済だろ、いやアフリカじゃないかなんて話の後にサップ楽しいよ。

朝焼けの時なんて最高。

お!俺も川下り始めた。

なんて具合に話が飛んでいく。

昔話ばかりするでもなく、会ってない時間に経験したことを持ち寄って、気を使わずに話しているとすぐに数時間経っていた。

五十路にもなってくると皆少しづつ社会的な何かよりも個になってきたと感じる。

出会ってから四〇年チョット。

どーせだから墓に入るまでという関係の一つかもしれない。

じゃぁまぁ来年四月頃にまた集まるか、

生存確認みたいなもんだな

なんて誰かが言って解散。

先の缶詰を一個ずつリュックに放り込んで帰ってきた。

多分来春には集まらないんだろうな。

でも、そのゆるさが良いのかもしれない。

今日も素敵な一日を。

独りのための静かな空間美容室ぱいんゆ